紫外線は貯金?
日焼け対策の第一歩は紫外線についてよく知ることです。
夏の暑い日差しや、太陽によるまぶしい光は、紫外線をたくさん含んでいそうですよね。
しかし、実際のところこれらは紫外線とは関係ありません。
暑いのは赤外線、まぶしいのは可視光線なので、曇った日や、秋や冬でも紫外線の強烈な日はあります。
そして、紫外線が肌に与える影響というのは少しずつ蓄積していきます。
急激な日焼けをしなかったからといっても、紫外線を浴びればその分だけ肌の奥に蓄積されていき、やがてある閾値を越えるとシミとなって浮き上がってくるのです。
また、子どもの頃、よく「お外で遊んで太陽の光をいっぱい浴びると骨が育つ」みたいなことを言われた人も少なくないかもしれませんが、これはビタミンDが活性化するというだけで、それ以上の意味はありません(ネコが日向ぼっこしながら自分の体を舐めているのは、毛の表面に合成されたビタミンDを摂取しているのです)。
現在、日常の食事やサプリでビタミンDは十分摂れますので、太陽に長時間浴びるメリットはありません。
ただ、セロトニンを正常にするためにも、朝起きたら5分くらいは太陽を浴びる必要があります。
それによって、体内時計を25時間周期から24時間周期へとリセットするためです。
紫外線の種類
結局のところ、完全に太陽の光をシャットアウトすることはできません。
もう少し紫外線について深く知っておきましょう。
紫外線にはA〜C波までの3種類があります。
C波はオゾン層にて吸収されてしまうので、A波とB波についてだけ考えればいいです(わずかに届いているという報告もあるようですが)。
紫外線A波の特徴は以下の通りです。
- 波長が320〜400ナノメートルで長波の紫外線
- そのため長時間かけてじっくりと肌に浸透し、黒くさせていく
- コラーゲンの老化や光発がんなどを引き起こす
- 長波なので雲を通り抜けるため、曇りの日でも照射量は変わらない
- 日焼けサロンで用いられる
紫外線B波の特徴は以下の通りです。
- 280〜320ナノメートルの短波の紫外線
- エネルギーが強いため、短時間で肌が赤くなる
- コラーゲンの老化や光発がんなどを引き起こす
- 雲や窓を通り抜けにくく、ある程度さえぎることが可能
紫外線によって表皮細胞のDNAが傷つけられ、皮膚がんに繋がることを光発がんといいます
これらの特徴を見ればわかる通り、部屋のなかにいる場合も曇りの日も、また季節に関係なく日焼け対策をすることは必要です。
そしてA波B波両方をさえぎるタイプの日焼け止めを選ぶのが大きなポイントになってきます。
SPFについてのおさらい
日焼け止めを選ぶ際に、SPF値を参考にする人は多いですが、実はこれは紫外線B波をカットする力を示しているのです。
標準的な人は、紫外線B波が照射されてから20分ほどで肌が赤くなっていきます。
SPF値は、単純に言えばこれをどれだけ遅くできるかということを表しています。
SPF20とあれば、肌が赤くなるのを約20分ほど遅くさせることができるという意味だと考えて構いません(つまり20+20で40分後に日焼けが始まる)。
SPF値は50が上限で、それを超えるものは「+」の表記がなされるようになりました。
50以上のものは誤差が大きいためです。
あくまで紫外線B波をどれだけ抑えられるかというだけの指標に過ぎないので、この値が大きいほどいいというわけではありません。
値が大きいほど、化粧品そのものの肌への刺激が強いので、かえってダメージを与えかねません。
自分の外出時間を考え、たとえば通勤やお買い物程度ならSPF20くらいを日常的に使うようにしましょう。
皮膚科学会でもSPF20を推奨していますし、こまめに塗り直しすれば問題ありません。
PA値の方が重要?
さて、紫外線の種類のところで述べた通り、紫外線B波よりもA波の方が深刻である場合が少なくありません。
この紫外線A波をカットする力を示すのが「PA値」です。
多くの日焼け止めでは、SPF値の方を大きく表示させているためにあまり気に留めていない人も少なくありませんが、ここまで読んでくれた方にはその重要性は理解されているかと思います。
PA値はSPFのように明確な数値基準がなく、人を使って測定しているため、やや曖昧な部分があります。
「+」「++」「+++」の3段階で、+が増えるごとにやや効果がある、効果がある、非常に効果があるとなっていきます。
日常使いなら「++」を選べば問題ありませんが、しみが出来やすい人は「+++」を使った方がいいでしょう。
しっかり塗って紫外線貯金を作らない
以上、紫外線についてとSPF値、PA値について簡単に説明してきました。
少し長くなってきてしまったので、日焼け止めの具体的な選び方については次回に譲ることにします。
今回の記事を読まれた方は、なぜ日焼けするときには「まず肌が赤くなってから、数日後に黒くなる」のかが理解できたと思います。
紫外線の仕組みを知った上で商品を選べば、メーカーが推すSPF値ばかりでなく、PA値にもしっかりと目がいくようになるでしょう。
なかには逆に覚えている人もいるようなので、この機会にしっかりとおさらいしておいて下さい。
こまめに塗り直して、紫外線によるシミやシワの発生を防ぎましょう。
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